万劫末代、永遠の恋  第壱話



















ここらで一番人気の茶屋。

団子も茶もどれも美味しく子供から老人まで老若男女立ち寄る。

しかし夜ともなれば欲に塗れた輩がこの茶屋に集まってくる。

表立っては茶屋を営んでいるこの店の裏の顔は遊郭を営んでいた。

ここには家の借金の型として売られて来たり、行く当てもなく拾われた少年少女が溢れている。

その中でも景吾…源氏名・景は男の身でありながらこの店で一番の花魁だった。

景が相手にする客は専ら大富豪や国のお偉いさんばかり。

景と床を共にするだけでもかなりの金を必要とするが彼等は毎回のように景に贈りつける高価な品物の数々。

それは着物であったり簪であったり…。

景の為に特別に拵えたものでかなりの値がつくものだ。

一介の庶民には手が出せないほどの…。













景吾は町の外れで両親と3人で仲良く暮らしていた。

父と母は仲が大変良かった。

いつも3人一緒。

景吾もとても優しい両親を誇りに思っていたし大好きだった。

しかしそんな日々も永遠に続く事はなかった。

父は病に倒れ、間もなく死去。

母は悲しみに来る日も来る日も泣き続けた。

彼女が狂うのも、当たり前だったのかもしれない。

父が死んで丁度1年後。

母は崖からその身を投げ捨てた。

岩場には彼女が愛して止まなかった夫から贈られたという真っ赤な草履だけが残っていた。

この時景吾はまだ6歳だった。

行くあてもなく、景吾はさ迷い続け、この茶屋に辿り着いた。




これから、自分の身に何が起こるかも知らないまま…。






























微かに自分の名を呼ぶ声が聞え、景吾は意識を浮上させた。

瞼を持ち上げれば茶色がかった黒の瞳と目が合った。

「ようやく起きたんっスか」

わざとらしく溜息をついたのは景吾の禿であり、ゆくゆくは遊女となる運命にある涼。

本名はリョーマと言ってまだ10歳の少年。

何故ここに来たのかは詳しく知らないが、リョーマが景吾のもとに来た時とても喜んだ事を思い出す。

一人っ子だった景にとって兄弟というものに憧れを抱いていた。

自分と6歳違いのリョーマを景吾は弟のように可愛がっている。

「今、水持ってきますから」

景吾が起きあがったのを確認するとリョーマは湯のみに水を注ぐ。

それを景吾の前に差し出した。

目の前に出された湯のみを手に取り、二・三回口に含む。

冷たい水が喉の渇きを潤していく。

「ありがとよ…」

リョーマに湯のみを返すと傍にあった盆の上にそっと置いた。

手が景吾の額に触れた。

「…汗、かいてません?」

そう言われてみれば確かに景吾の着ている着物がしっとりと水分を含んでいる気がした。

「嫌な夢でも見たんスか?」

「ちょっと…昔の事を、な」

心配そうに覗きこんでくるリョーマの髪を撫でる。

自分とは違うその黒の髪が指に絡む。

擽ったそうに笑いながらリョーマは景吾の手を押さえる。

「今、風呂の用意させてきますんで」

「あぁ、頼む」

お礼の意を込めてリョーマの頬に口付けてやる。

するとリョーマは真っ赤になって立ち上がり、部屋から出ていった。















何気なく窓の外を見れば桜の木が薄桃色に染まっていた。



春の訪れを、教えてくれた。














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●あとがき

やってみたかった遊郭ネタですv
相変わらず語彙が少ないなー、自分。使いまわしじゃんよ;
まぁ、そこは気にせず。(え)
あ、リョ跡でも跡リョでもないですよー。(笑)
単に兄弟みたいな感じなんです。
忍足が出てきてません;…次には必ず!;