CROSS... ~5~





















はじめは、本当に些細な事だったんだ。











目の前に倒れるモノを見て一瞬何が何だかわからなかった。


今、何が起きた?

名前を呼ばれた気がした。

誰が自分を押した?

助けられたのか?



……誰、に?



そして、目の前に倒れるモノ。

血溜まりの中に居るのは…。





















「け…いご?」

そのモノの名前を呼ぶ。

二度目だ。

一度目は、無意識の中…。

きっと今の忍足は覚えていない。

跡部が跳ねられた瞬間、声が出た…けれども覚えていないだろう。

何故、自分は助けられたのか。

それすらわからない。

ただ、呆然と立ち尽くすだけで。

周りの雑音が聞えない。

隣に居る筈の女の気配すら感じれない。

ただ彼を目に映して居るだけ。

死んだように動かない体。

彼の特徴の蒼い目が開かれない。

こうしている間にも赤が地面に広がっていく。



こうなったのは…

             オレノセイ…?



「ッ、景吾…!!」

駆け出す足。

腕に絡んでいた女の手を強引に外し跡部の元に走る。

血溜まりの中に横たわっていた彼を抱き締める。

「なぁ…返事しぃ!景吾…!!」

何もできない。

こうして、彼の名を呼ぶだけ。

遅れてやって来た宍戸が真っ青な顔をしていた。

忍足の肩を揺さぶる。

「落ち着けよ…!!今、救急車を呼んでもらったから…」

「落ち着け!?何をどう落ち着け言うんや!」

声を張り上げ怒鳴る。

宍戸は忍足の様子に戸惑う。

こんな彼は見たことない。

宍戸の思う忍足は…。






























「いっつも同じ表情してねぇか、アイツ…?」


部活中、練習で準レギュラーと試合していた宍戸が休憩にはいる。

ベンチに座っていた跡部の隣に腰掛け、今試合している忍足を見た。

「試合中もああいう風に冷静で居られる事は良い事だと思うけどな?」

「冷静つったら跡部もだろ?……ポーカーフェイスって言うんだよな?ああいうの…」

俺なんかゼッテェ無理!!

宍戸は忍足を見て思う。

転校して来た時からそうだ。

何事にも冷静に対処できて大人な…。

チラリと隣の跡部を見る。

彼も忍足と似た様なタイプなのかもしれない。

ただ、違うと思ったのは…。



ー跡部は自分の事を押し殺してでも相手の事を考えるから…



どっちも疲れそうだよな。

宍戸はぼんやりと空を仰いだ。


























それがどうだろう。

今の忍足は感情が剥き出し、と言うよりはパニックを起こしているのだろう。

冷静さの欠片もない。

忍足の事を大人っぽいだの冷静だのと思っていた宍戸には信じられない光景で。

「景吾…ッ、目ェ覚ましてや…!!」

忍足の言葉にハッとした。

今まで気付いた無かった。



ーこいつ何時から跡部の事を…?



血塗れの跡部を抱き締める忍足を見る。

忍足の服は跡部の血に濡れていた。



ーまさか、こいつ等…



徐々に疑惑が確信に変わって行く。

その瞬間、宍戸は忍足の睨みつけた。

心の奥から憎しみがフツフツと沸いて出る。







遠くで、サイレンの音が聞えて来た。


























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●あとがき●

ひ、久しぶり…ですか?;
しかも全然進んでないって?短い…。
つか、忍足と一緒にいた女は?
…書いてる本人も分かりません。(ぇ)
そろそろ終わりそうで…終わらなさそうです;
宍戸さんが妙に出張ってるのは愛故かと。