CROSS... ~1~





















「忍足…今日、お前の家に寄っても良いか?」


夕方、外は徐々に暗くなり冷たい風が体を容赦なく冷やしていく。

西の空が赤く染まっている。

校門に続くもう葉が枯れ落ちた銀杏通りを忍足と跡部は肩を並べ歩いていた。

忍足よりも幾分か身長が小さい跡部は自然、上目遣いになって忍足を見る。

ちら、と視線を跡部に向けたかと思うと小さく溜息をついた。

「すまんなぁ…今日は用事があるんや」

そっけなく言う忍足に跡部は悲しそうに俯く。


「…また、女?」

「あぁ、そうやけど」

何か文句あるのか、とでも言いた気な忍足に跡部は足を止めた。

それを視界の端にとめながらも、それでも忍足は足を止めようとしない。

どんどん遠くなって行く背中に跡部は何も出来ないまま、ただ見つめるだけだった。












二人は付き合っている。

恋人同士だ。



なのに…

この想いの差は何なのだろうか…?










すっかり忍足の姿が見えなくなってからようやく跡部は足を前に出した。

日もとっくに沈んでしまった。

真っ暗闇に包まれた世界。

足取りは重い。

付き合えば前よりも一緒に居れると思っていた。




しかし現実は違う。

以前と変わらぬ距離。

胸が痛くなる…つらい。

しかし、泣かない。

涙は絶対に見せれなかった。




忍足に嫌われるから…。





もしかしたら、もしかしなくても。

もう嫌われているのかもしれない。

けれども、まだ話してくれるから。

冷たいけど、傍に居ることを許してくれているから。

今でもただでさえ構ってくれずにいるのに、跡部にはそれだけは耐えれなかった。

だから、忍足が浮気しようが他の女と寝ようが冷たかろうが…何も言わない。


言えない。






















本心は未だに跡部の心の中に閉じ込められている。

すべてを曝け出す自信が無い。

忍足は受け入れてくれないかもしれない。

忍足。

彼が跡部を弱くする。

自分よりも忍足を優先してしまうが故、本音は閉じ込められる。

好きだから。













そうして二人の距離は離れて行く…。






















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●あとがき●

少々(?)忍←跡よりのシリアスに挑戦してみましたが…どうでしょう;
つか短かったです;反省…。
相変わらず(?)跡部が女々しいです。
無謀にも再び連載ですが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。