欲張りな恋人
珍しく部活はオフ。
天気も良好。
けれども、隣に居る恋人の機嫌は…。
せっかくだから、今日は跡部と一緒に街に出て買い物をしようと思っていた。
跡部は例え休日だろうがいつも早起きだ。
日曜日の朝7時にメールをしても直ぐに返事をくれる。
今日も7時30分頃に『今から俺ん家来ぃひん?せっかくやしデートしよや』と、誘いのメールを送った。
予想通り直ぐにメールが返ってきた。
『9時までにお前の家に着く』
そう。そこまでは計画通りだったのだ。
ちょうど9時。
玄関に現れた恋人は、いつも通り可愛らしかったのだが…。
「…侑士のバァカ」
会ってすぐ、玄関先でそれだけ言うと思い切り自分の胸へと飛込んできたのだ。
セリフもその表情からも跡部が不機嫌であることは容易に想像出来た。
しかし彼は何時も不機嫌なときは自分と目を合わそうとせず、口も聞いてくれない。
もちろん抱きついてくるだなんて論外だ。
なのに今日の跡部は変だ。
「バカ」などと文句を言っている割にはギュッと背中に腕をまわし、一生懸命に抱きつき甘えてくる。
なのにコチラから抱きかえそうとしたりキスしようとすれば抵抗される。
全くもって理解不能である。
「…なぁ、景ちゃん。そろそろ何で怒っとるんか教えてくれへん?」
せっかく可愛い恋人が不機嫌ながらも抱きつき頬を擦り寄せて甘えいるのに、手が出せないのは少々辛いらしく忍
足はずっと一人悶々としていたのだ。
しかし問掛ければ跡部は黙りこんでしまい…。
ーあ〜、アカンかったなぁ…
忍足は短刀直入に聞きすぎたかと後悔し、2・3度頭を掻いた。
そしてとりあえずは謝っておこうと跡部の頭に手を伸ばした。
指先が跡部の髪をかすめた。
その時忍足の胸に頬を寄せていた跡部が顔をあげた。
その目は哀を含んでおり…。
「…侑士は俺のもんだろ?」
切な気に眉尻を下げ、跡部は問う。
忍足が伸ばし、跡部の髪に触れた手は引くのを忘れ宙に浮いたまま。
その手を跡部はそっと両手で包み込み、握る。
「全部、俺のもの…。……あんな女に触らせるな」
そこまで聞いて、ようやく忍足は跡部が不機嫌だった理由が分かった。
昨日、忍足は学校で数人の女に囲まれ話していた。
その時一人の女がフザケて抱きついてきたのだ。
多分、跡部はそれを目撃した。
だからこんなにも……。
「あれか…。スマンな、突然で避けきれんだんや」
「浮気じゃないよな?」
「当たり前やん。俺には跡部しかおらへん…」
不安気に見上げてくる跡部。
その手は忍足のシャツを掴み、握り締め縋るようだ。
その手を優しくシャツから解いて甲に口付ける。
「俺は景吾以外は誰もいらんから…な?信じて…」
穏やかに見つめれば跡部は頬を赤く染め、再び顔を隠すように抱きつく。
気のせいか、先程より体が密着する。
「信じてやる。…けど」
「…?」
「今日はデート禁止な」
「はぁ!?何でやっ!」
「…その代わり」
抗議をし始めた忍足の唇にそっと細い指を触れさせ。
微笑みを浮かべる。
「今日はこの部屋であの女の何倍も何十倍も…いや、比べ物にならないくらいくっついてやるから…」
覚悟、しとけよ?
そう告げれば忍足は嬉しそうにニヤリと唇の端を吊り上げた。
「ほな、今日は景吾にいっぱい甘えて貰おうな…」
膝の上に乗り、抱きついてくる跡部の腰を引き寄せる。
より密着していくお互いの体に跡部は満足そうに目を細め、にっこりと微笑んだ。
〜END〜
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04AT55様へ、お誕生日祝いに捧げますv
21日中に書き上げたかったんですけど無理でした;
こんなんでも愛は詰まっているので(笑)
それでは04AT55様、お誕生日おめでとうございます!

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