手を握って…
こっちでは珍しく雪が降り積もり、いつも通学に利用している電車が止まっていた…。
……復旧の見込みはないらしい…。(そう、張り紙に書いてある)
「あ!サエっ!」
駅の前で立ち往生していた淳は俺の姿を見て、駆け寄ってきた。
「おはよう。…学校行けないね」
「おはよう、淳。一旦帰るか…?……あれ?今日は亮やバネは一緒じゃないのか?」
そう聞くと、淳は苦笑いしながら言った。
「亮もバネも風邪で寝こんじゃったみたい…」
「淳は平気なのか?」
「うん。って言うかもとはといえば僕の風邪を2人にうつしちゃったみたいなんだよね…」
淳は溜息をついた。
その息は白くなってそして空気中に消えていく。
「とりあえず、家に戻るか?」
「…もうちょっとここで待ってない?」
ホームにある屋根付きの待合席に座り微笑みながらそう言われ、断れるワケもなく俺も隣に座った。
もともと田舎の方の小さな無人駅だから俺と淳の他に人影はなく、ただ時間だけが過ぎていった。
ふと淳を見ると手袋を忘れたのかしきりに両手を擦り合わせ息を吹きかけていた。
「淳…手袋は?」
「朝、探したんだけど父さんが勝手に僕の手袋持ってっちゃったみたいで…」
そう言いながらも両手を擦り合わせ続ける。
白い手がますます白く見えた。
「淳…これ、左手に着けて」
俺は左手の手袋を脱ぎ、淳に手渡す。
戸惑いながらも淳は左手に手袋をつけた。
それを見て、俺は冷たい空気にさらされた左手で淳の右手をギュッと握った。
俺はそれを淳の手ごと自分のコートのポケットに突っ込んだ。
驚いたように淳は俺を見上げる。
「こうすれば、俺も淳も暖かいだろ?」
淳ににっこり笑って見せる。
「…ありがとう、サエ」
淳は嬉しそうに笑って俺の手を握り返してきた。
「で、学校どうするの?」
「どうするも何も電車来ないんじゃ行けないだろ?」
「学校サボるの?」
「……ま、たまにはいいだろ?」
お互いに顔を見合わせて笑う。
太陽が雲の間から少し顔を出した。
降り積もった雪に光が反射してキラキラと輝きはじめる…。
冬のある寒い日の出来事……
〜END〜
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●あとがき●
何となく思いついたSS。…短すぎでしょうか?;
年齢はサエと淳が中学1年生のつもりです。
サエアツって微妙に難しいんですね。…視点がサエさんだから、か?;(何か違う)
フジアツのが書きやすかった気が…。(爆)
いや、もちろんサエアツ大好きですよv!!

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