咲、日


























桜は美しく咲き誇り、ひらひら、と風に乗って舞い散る。


胸に花飾りをつけた新入生が氷帝学園高等部の桜道を明るい笑い声で満たしながら歩いていく。




















「景吾…」

低いテノールが跡部の名を呼ぶ。

振りかえれば微笑を浮かべた忍足が桜散る中に佇んでいた。

「新入生代表の挨拶、ご苦労さん。相変わらずの人気っぷりやったね」

跡部がステージに昇った途端、一斉にざわめきが起こった。

氷帝学園高等部は中等部からの持ち上がりの生徒が半数以上を占めている。

もちろん跡部はその名を上級生までに轟かしていた。

「お前だって高等部の先輩に人気あるだろうが」

「景ちゃん程やないで?」

じゃり、と小石と砂を踏みしめながら忍足が歩み寄る。

「…留学せんかったんやね」

「お前こそ、てっきり実家に戻ると思ってたぜ」

跡部には中2の頃から留学の話が多々来ていた。

それはテニスの面であり、学力の面であり…様々なものであった。

忍足も東京でテニスをするのは中学まで、という噂が飛び交っていた。



しかし、二人が選んだのは同じ氷帝学園だった。



「何で留学せぇへんかったんや?」

「ただ…何となくだ。海外なんていつでも行ける」

「うわ、お金持ち発言や」

「そっちこそ、何で帰らなかった…?」

からかう様に笑う忍足を見つめた。





今、桜の木の上に広がるどこまでも澄み切った蒼のような瞳で…。





「…景吾に会えんくなるのは嫌やってん」

「バーカ、何言ってんだよ」

「本当やって…」

忍足の腕が跡部の体を捕え、強く抱き締める。

腕の中の跡部が笑う。













「…お前と同じ考えだったなんて、な」














その言葉に忍足は呆然と跡部を見つめた。

視界の中の跡部はそんな忍足の反応を面白そうに見ている。





















「また、3年間…よろしくな」

















その時の彼の笑顔は…



鮮やかに咲き誇っていたどの桜よりも、美しかった。











〜END〜





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●あとがき●

凄く短い気がしますが…入学式記念(?)小説です。
忍足と跡部はずっと一緒に居て欲しいです。
むしろ一生一緒に居てくださいv