立海にいこう!





















王者立海と言っても、もちろんみんながみんな全国レベルということではない。

中学からテニスを始めたものもいる。

彼等は部長である幸村をはじめ真田、柳達レギュラーを目標に毎日練習を続けている。

そう、誰もがレギュラーを狙い、必死にボールを追いかける。







「仁王ーっ!!」







そんなコートに響いた、一つの声。

聞きなれない声にみんな声のした方を見る。

そこには…。





「っ、あんの阿呆…」

仁王の恋人である忍足侑士が笑顔で手を振っていた。


























「で、何しに来たんじゃ」

仁王としてはあのまま忍足の呼びかけを無視して他人の振りを突き通すつもりだった。

しかし柳に「…お前に用があるみたいだぞ。行ってこい」と言われてしまいしぶしぶコートを出て忍足に歩み寄った。

部長である幸村が入院している今、真田が部を纏め上げている。

しかしその真田も今、委員会があるとのことで居ない。

というわけで立海の参謀・柳が今現在の部活を仕切っている。

つまり、柳の言う事は絶対である。

無視しようにも出来なくなった。

「何でそんなに不機嫌そうなんや?」

「…お前が居るからじゃ」

「酷いなぁ、せっかく会いに来た恋人に対して失礼やないか?」

「他校の部活中に来る方が失礼じゃ」

まったく、この男はどうして時と場合を考えないのだろうか。

確かに東京からわざわざ会いに来てくれたのは嬉しい。

かなり嬉しい。

でも今は部活中だ。

そして当たり前に自分のほかにも部員達が練習している。

そんなところで忍足なんかとのんびり話せるわけがない。

「えー…だって最後に会ったんっていつや?」

「……知らん。興味なか。さっさと帰りんしゃい」

「…さすがに傷ついてきたわ」

深く溜息をついてその場にしゃがみ込む忍足に仁王は僅かながら頭痛を感じた。



「あんなぁ、詐欺師として恐れられているこの俺が恋人とイチャついている図なんか見られたらなぁ…間違えなく柳の
データに加えられ、ブン太と赤也には馬鹿にされ、柳生にはねちねち説教され、ジャッカルには……まぁジャッカルは
どうにでもなるじゃろ。とにかくっ!迷惑なんじゃ!!さらに真田なんかに見られたら…っ、裏拳食らうんは目に見えと
るんじゃよ!!」



一気に喋り、はぁはぁと息切れしている仁王を不思議そうに見た。

「真田に怒られるんか?」

「そうじゃ!忍足だって知っとるじゃろ!?あんの詐欺師!!」

「詐欺師は仁王やん」

「詐欺は詐欺でも年齢詐欺じゃ!!…とにかく、真田に見られたら説教じゃ済まされん……」

「でも、あれなんや?」

「…へ?」

忍足がふいに指を指した方向。

そこに目を向ける。












「真田、今日は部活何時までだ?」

「…終わるまで待っている気か?」

「当たり前だろ」

「お前を長く待たせるわけにもいかん。…すぐにでも終わらせてやるぞ」

「本当か!?やっぱり優しいな、真田は」

「俺は部活よりもお前と一緒にいる時間の方が大切だ」

「バーカ//副部長がそんな事言ってたら駄目だろ//」

「そういう跡部こそ俺に会いに来るために部活を自主練習にして来たのだろう?お互い様だ」












「何じゃ、あれは…」

仁王の視線の先には氷帝テニス部部長跡部の有り得ない乙女な姿と立海テニス部副部長の見たこともない甘い笑
顔で話す真田の姿があった。

それも仲良さ気に(いや、そのレベルを遥かに超えているが)跡部は真田の腕に自分の腕を絡ませているし、真田は
その跡部の肩を抱いている。



何か自分は見てはいけないものを見たのではないか…。



「何って跡部と真田やん」

「何であんなに仲良さそうなんじゃ」

「何でって付き合ぅてるからやろ」

「……そうだったんか!?」

「そうやよ」

にっこりと笑う忍足に仁王は本格的に頭が痛くなってきた。

あのいつも顰め面の老け顔で恐れられている真田が跡部の前だとああも甘い彼氏役になっているのだろうか…。



あぁ、色んな意味で恐ろしい。



「な、だから俺等がイチャついとっても文句言えへんよ」

「さ…真田が良くても他の奴等だって見とるんじゃし……」

どうしてもスキンシップを許してくれない仁王を見て忍足は溜息をつく。

「あんなぁ、みんなそれぞれ恋人とイチャついとるんになしてそないに嫌がるん?」

「だーから!恥ずかしいって言って……」

そこまで言ってふと仁王が言葉に詰まる。

今、忍足は何と言った?

「…"それぞれ恋人と"って何の事じゃ?」

「見たまんまやんか」

嫌な予感。

本来ならば自分の背後にはコートがあり、それぞれ部活に打ち込んでいる筈だ。

なのに振り向きたくはない。

ごく、と仁王は唾を飲みこみ恐る恐る振り向く。











「丸井く〜〜んっvv」

「また来たのかよ、芥川」

「ジローで良いってば★く〜!相変わらずかっちょA−!!」

「うわ、いきなり抱きつくなよな…ったく」

何時の間にかいる芥川とブン太。

なにやら楽しそうに抱き合っている。


さらには…。








「蓮司、今週の日曜日の降水確率は僅か5.63%。…久しぶりに外でデートをしないか?」

「あぁ、そうだな。弦一郎のあの様子だと土日は跡部の家に泊まりに行く確率は97.8%で部活はないだろう」

「久しぶりに一緒にテニスでもするか、教授?」

「それは楽しみだな、博士」

こちらも何時の間に来たのか…乾と柳がデートの約束をしている。











「……。」

「な?誰も俺等のことなんか気にせんてv」

確かにそうだろう。

むしろ何だかこの状況だと…。

「恋人と一緒に居るんにイチャついとらん…俺が変みたいじゃ」


いや、自分は正しい。

部活中に恋人とイチャついている奴等が異常だ!!

…そう、思いたい。


「ったく…意地っ張りやなぁ、仁王は」

ぐい、と仁王の腕を掴み思いきり引く。

それはあまりにも突然だったので逆らえず仁王の体は忍足の腕の中におさまる。

「っ、忍足…!」

「…なぁ、俺は仁王に会えてすっごく嬉しいんやで?」

「……」

「仁王も…そうやろ?」



先程から表面上…口先では文句ばかり言っていたが確かに気持ちは忍足と同じ。

ただ、周りの目…世間体があったから。

けれども今は…。



「当たり前じゃろ?……忍足に会えて嬉しい」

腕を背中に回して抱きつく。

ドキドキ、と鼓動が伝わる。

「ふ、…すっごい音なっとるのぉ」

「しゃあないやろ…滅多にお前から抱きついて来んやんか」

こんなところで…不意打ちや。


などと顔を赤くさせぼやいている忍足を見ると笑いが込み上げてくる。

「そうじゃったかのぉ?」

「そうや。……どうせこの様子やと部活出来んやろ。仁王ん家、行ってもええ?」

「泊まりかぁ?」

「泊まりや」

「忍足との関係、絶対に家族にバレとるんじゃけど」

「えぇやん、家族公認で」

「ポジティブじゃの〜」

「こんぐらいがちょうどなんや」

顔を見合わせ互いに笑いあう。

そしてどちらからともなく、唇を重ねる。















もしかしたら、誰かに見られているかもしれない。


けれどももう気にはならない。










だって今は…


誰にも邪魔出来ない、恋人同士の甘い時間。











〜END〜





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●あとがき●

今度こそ忍仁ですっ!!…多分。(自信薄)
「忍足が立海に行く話」だった筈なのになんで真跡やらブンジロブンやら乾柳やらが混じっているのでしょうか?;(知るか)
あかね様、こんなのになってしまってごめんなさい;(土下座)
こんなのでよければ貰ってやってくださぁい…。
いつかちゃんとお詫びいたします;