ぬいぐるみ
景吾の部屋にはありえんくらいでっかいテディベアが置いてある。
どんぐらいかっていうとなぁ、立ち上がらせてみたら俺の頭1つ分小さいぐらい。
それは景吾がまだ幼い頃に、イギリスに住んどるおばーさまが景吾の為にオーダーメイドで作ってくれたらしいんや。
生地も中の綿も何もかも最高級のもんで、ふわふわしてさわり心地も抜群なんや!
せやから景吾が10年近くも大切にしとったんはわかる。
ふかふかで、ぎゅーっとしたいんもわかる。
わかる、…けどなぁ。
「何も恋人と一緒に居る時までそんな馬鹿でかいクマに抱きついとらんでもえーやんか…」
深く溜息をつき横目で見るのは愛しい恋人の姿。
例のテディベアに抱きついてすやすやと眠っている。
景吾がおっきなクマに抱きついているこの状態は何とも言えず可愛い。
けれども。
「…俺に抱きついてくれればええんに」
いつだってそう。
景吾は何かとこのぬいぐるみと一緒にいる。
家にいるときは絶対に傍に置いている。
いつもいつでも抱きついている。
恋人である自分を差し置いて……。
ーいっそ、無理矢理にでも起こして引き剥がして…
手を伸ばし、跡部の肩に触れる。
ぴく、と反応し身じろぐ。
閉じられていた唇が微かに動いた。
「ん…ぅ、……ゆ、し…」
幸せそうにおっきなぬいぐるみを抱きしめて呟く。
唇には笑みを。
「敵わんなぁ…」
景吾の幸せを邪魔しようとしていた手を肩から離す。
代わりにテディベアに負けないぐらい触り心地の良い景吾の髪へとやる。
それを自分の指に絡め、梳かす。
さらさら、と。
それが気持ち良いのかもっと、と言わんばかりに手に頭を擦り寄せる。
「…すき、……ゆぅ、し」
「ん、俺も…好きやで」
いまだ夢の世界に居る景吾の頬にキスを贈る。
出来るならば、夢の中の自分ではなく現実の自分に告げて欲しいと願いながら。
〜END〜
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●あとがき●
お題初挑戦です!;
…でも読み返してみるともしかして乙女なのは跡部よりもおした(強制終了)
いや、ぬいぐるみを抱きしめて寝ていることが乙女なんです!!(無茶苦茶)
さらに、寝言で恋人の名前を呟くことも乙女なんですよ!!

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