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万劫末代、永遠の恋 番外、其の参「風乗」 景吾が居なくなった寂しい部屋に雅治が入る。 この部屋は、店一番の花魁の部屋。 そう、代々決まっていた。 普通の遊女達よりも良い部屋だ。 広いし、内装も美しい。 まさに一番に相応しい。 雅治はこの部屋を何処か他人のもののように見渡しながら眺めていた。 彼は景吾の後、店一番の花魁となった。 ー嬉しいんじゃろうか、…悲しいんじゃろうか はぁ、と息を吐き、敷いてある布団の上に座る。 この部屋からの窓から見える裏口。 はっきりと覚えている。 あの男の姿。 「やっぱり…殴っとくべきじゃったか」 ぽつり、呟く。 今更言っても仕方がないが。 そんなことを考えていると、スッ、と襖が開いた。 「雅さん、…今日の客が来てますけど?」 顔をひょっこり出したリョーマの言葉に顔を顰める。 「えー…すっごい嫌なんじゃけど」 「なに我侭言ってるんスか」 「…『本日の雅は開店休業中です』?」 「…怒りますよ?」 呆れたようにリョーマは溜息を吐いた。 雅治は嫌じゃー、と駄々をこねはじめる。 「花魁って自分で好きな客選んでえぇんじゃなかと?」 「…でも今日は花魁になって一日目でしょ?ちゃんとお客さん取ったほうが良いっスよ」 「うわー…本気で嫌じゃ」 布団に倒れ込み、まだブツブツと文句を言う。 気分屋なところがある雅治は機嫌が良い時は何も問題はないのだが、悪いとこうなる。 ひたすら客を拒もうとする。 雅治も店でかなりの人気でかなりの指名が来ているのだが、やはり、彼の気分次第で内容は変化する。 まったく、子供のようだ。 そう、彼よりも年下のリョーマに思われているのだから困ったものだ。 「本当、そんなんで良く客が逃げないよね…」 「ほら、俺は体が絶品やからv“名器”…っつうんじゃろか?」 「…自分で言わないでよ」 「真実を述べたまでじゃよ」 「…何でアンタみたいな人がこの部屋来れたんでしょうね」 何度目か知れない、リョーマの溜息を聞きながら雅治は苦笑いする。 「ほら…今は景が、居らんから」 枕に顔を埋めて言ったので、曇った声になる。 リョーマも思わず黙ってしまう。 そして、沈黙が続いた。 突然、リョーマは立ちあがった。 そして部屋を出て行こうとする。 最後、襖を閉める前に一言。 「とにかく今日は絶対にお客さんとってくださいね」 それだけ、言い残してリョーマは去って行った。 「景…、今…お前は何処に居るんじゃ?」 何処で、何を見て、何を感じて…。 「幸せじゃと、えぇな…」 窓を開け、裏口を見つめた。 あの、思い出の、あの、すべての原因の。 あんなに、景吾は侑士を想っていたのに。 瞼を閉じれば、あんなにも幸せそうな景吾の笑顔を思い出す事が出来る。 だから、少しでも…。 「幸せに、なるんじゃよ……景吾」 風は、言葉を運ぶのだろうか…。 ピタリ、足が止める。 緩やかな風が景吾の髪を揺らした。 振り返り、空を見つめた。 「…みや、び?」 声が、聞えた気がした。 風よ。 あの美しい、自分の想い人に…。 届けてくれましたか? せめてもの、祈りの言葉を…。 終 ------------------------------------------------------- ●あとがき 久々に「万劫〜」の番外編を書いた気がします。 しかも今回は…に、仁跡?? リクに沿ってるんだか沿ってないんだか; 一応仁王→跡部なんです。(仁跡じゃないじゃん) せっかくリクしてくれたのに…、ごめんよ、青葉よ。 今度ちゃんとした仁跡を「万劫〜」で書きたいなぁ…。 …あ、このサイト、仁王受と言いつつ82無いじゃん!?(今更) 戻 |