万劫末代、永遠の恋  番外、其の弐




















その日は新月。


いつも月明かりでも十分に明るい淳の部屋も今日ばかりは火を灯した。

油の匂いがする。

前に佐伯が、何故毎日油を挿して火を灯さないのか、と聞いた事があった。




「僕、油の匂いは好きじゃないんだ」




と、いつものようにくすくす笑っていた。

確かに月明かりでも見えることは見えるのだが。

けれども人工的な明かりよりは劣る。

「今日は淳がちゃんと見える」

そう言って肩を抱けば、無意識だろうか。

体重をそっと掛けて寄りかかってくる。

「…亮は、元気?」

「あぁ、昨日見舞いに行ったらバネ達と楽しそうに笑ってた」

「そう…よかった」

淳の双子の兄の亮はニ年前、突然病気で倒れた。

医療費はけして裕福とは言えなかった家に大きな打撃を与える。

その、お金を払う為に淳はこの茶屋に来た。

三年とちょっと。

その間、この店で働く。

代わりに亮の病気についてはこっちで負担する、と茶屋の主人は約束した。

その条件を飲んだ淳は源氏名、享(とおる)として今現在、この茶屋で働いていた。




























佐伯は二人の幼馴染だった。

淳の住んでいた辺りの地主で裕福な一族。

けれども佐伯は何時でも対等に、淳や亮と接していた。

とても、仲が良かった。

15を過ぎ、佐伯は淳への想いを自覚し始めてきた。


他とは違う、愛に。

















淳は佐伯には頼らなかった。

迷惑をかけたくなかった、自分の力で何とかしたかったのだろう。

何も言わず、淳はここに来た。

それは、佐伯にとって少なからずショックだった。




ーもっと、頼ってくれれば良いのに…。




ずっと、幼い頃から見てきた、大切な想い人。

彼が、他の輩に汚されるのが許せなかった。

幸か不幸か淳は他の男の体を知らなかった。

淳に恐ろしい思いをさせたくない。

だから毎日淳の元に通うと決めた。

佐伯自身、馬鹿なことだ。と思っている。

けれども、そうする他にどうしようもなかった。

本当は淳を見つけた時、すぐに身請けしたいと茶屋の主人に申し出た。

けれども、答えは良いものではなかった。

三年と少しの間の契約。

ただ、売られたのではなく…取り決めがあったから。

















また、一緒に外の世界を歩きたいから。

鳥篭から飛び出し、明るい世界に行こう。

その時にこの、想いを伝えるから…。

それまでは、ただ抱き締めて。




ー強く、優しく…。




それだけで。











































「サエ…今日も来たの?」


「うん、今日も俺に買われて欲しい」









それまでは、この、檻の中で。



大切に、大切に…

        守ってる。






















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●あとがき

「万劫末代、永遠の恋」の番外編第二弾です!!
久しぶりにサエアツ書いた気がします。
このサイト、もう既に忍跡しか更新されてないよねぇ;
そもそも淳受見に来てくれてる方って居られますかー?(笑)
まぁ、私がたまに書いてて楽しいから良いか。
所詮自己満足…。(笑)