万劫末代、永遠の恋  番外、其の壱





















特例で許可を貰ってリョーマは茶屋が贔屓にしている客人と少し遠出をしていた。

7日程度の旅だ。






















景吾が遊郭を出て数年した後、リョーマは遊女として働き始めた。

リョーマの心の中にはずっと景吾が居た。

朝、眠りから覚めれば、あの日、あの時、いつものように傍らに景吾が居て寝起きで乱れたリョーマの髪を撫でなが
ら「おはよう」とかけてくれる。

そう思い続けてきた。

けれどもあの人の姿を再び見ることはなかった。












忍足侑士。

景吾は彼のことを想い続けてきた。

リョーマ自身も何度か彼と話したことがあった。

普通の人。

でも、どこか優しい所のある人。

彼になら、大切な憧れの人を任せられると思った。

幸せになれると思った。



なのに…。

それなのに、侑士は突然姿を消した。

景吾は段々と笑わなくなっていった。

いつも裏口ばかりを見つめていた。

綺麗な蒼が、悲しみの色に変わっていった。

雨まで、降り出しそうになって…。

結局二人は再び会うこともなく、景吾は身請けの話を受け、リョーマの前から居なくなった。




























街のある呉服屋で旦那様…リョーマをこの旅へと連れて来た客が止まる。

「少し待っててもらえるか?」

「はい…」

返事をすると、男は店内へと入っていく。

ふぅ、と息をついて空を見上げた。



ーあぁ、景吾と一緒の色だ…



雲一つ無く、澄み切った空の青は果てしなく広い。

この空を、景吾もどこかで見ているのだろうか。

太陽が眩しい。

白い光を放っている。

あまりの眩しさに思わずリョーマは目を逸らした。

そして街並みに視線を戻した。

「……え、っ」

見えたのは…あの、蜂蜜のような色の髪に、今見ていたばかりの空の蒼。







「…け、いご?」








何年経とうとも色あせてはいない美しさ。


間違えるわけない。

ずっと見てきた憧れの人を…。

景吾が、そこに居る。

声を掛けようと口を薄く開く、その時だった。
































「景吾、お待たせ」

「遅いんだよ、馬鹿」

「すまんなぁ。ほら、そこの菓子屋で好きなもん買ってえぇから許したって?」

「…仕方ねぇな」


景吾に駆け寄る一つの影。

その見覚えのある声、顔にリョーマは目を見開いた。

その黒の色は僅かな時だったがしっかりとリョーマの記憶に刻み込まれている。

そう、間違えようも無く…景吾の想い人の……。


「さ。行こか、景吾」

「あぁ」

ほんのり桃の色に頬を染め、手を繋ぐ。

その景吾の表情は今まで見たこともなく、嬉しそうで…。



とてもとても美しかった。










































「涼、どうしたんだ?」

声を掛けることなくその姿を見送っていたリョーマに声が掛かる。

振り返り、慌てて男の隣に並ぶ。

「用事、終わったんスか?」

「あぁ。待たせてすまなかった」

大きな手がリョーマの黒髪を撫でる。

「何を見ていたんだ?」

「…空の蒼。あと優しい黒」

「…?」

訳が分からないという風に首を傾げる男の腕を取る。

ふ、と笑い促す。

「次、どこ行きますか?」

そして歩き始める。

景吾達とは逆に。

一度だけ振り返る。

でもその姿を目で捉えることは出来なかった。



ーいつか、俺もあの人たちのように…大切な人を見つけられるかな…?
















あの人の様に、愛し愛され共にこの道を歩ける。


そんな、人を。






















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●あとがき

「万劫末代、永遠の恋」の番外編第一弾です!!
リョーマ視点で忍跡&本編より数年後忍跡を少々…v
え?はい!もちろん第二弾・第三弾とやりますよ★
ちなみにリョーマと一緒に居る男は手塚イメージです。(笑)