いたいを・・・   ~第三話~



















階段を2段飛ばしで昇っていく。


上へ、上へと…。







突き当たった鉄の扉を勢い良く開ける。

そこは屋上。

強い風が拭いている。








空が。

…近い。











しばらくここで休もう。

そう思い、どこか影になっている場所を探そうとした。





ガチャ





扉が開く。

その音に振りかえった。

「久しぶり…、跡部景吾」

同じ制服の女が数人。

彼女等も跡部と同じく教師に目をつけられている不良達。



ー…また、か。



「…何の用だ」

一番手前にいるリーダ格の女を睨みつける。

何がおかしいのか、くすくすと笑っている。

「この前の借り、返してないでしょ?」

「別に、礼はいらねぇぜ」

「遠慮しないでよ。せっかくあなたの為に用意したんだから…」



ねぇ、受けとってちょうだい…?



























「あの跡部景吾ともあろう女が…格好悪いと思わない?」

足で腹を蹴り上げ、うつ伏せになっていた跡部の体を仰向けにさせる。

う、と短い呻き声が上がる。

先日受けた傷が癒えないまま、さらにその場所を何度も何度も殴られ、蹴られ、抉られる。

痛みで意識を失いかけ、また別の痛みで意識が浮上する。

「良い格好ね」

跡部の胸倉を掴み、上半身を起き上がらせる。

頬を叩きつけ何度も罵る。

跡部は既に抵抗する気を無くしただ、されるがまま。



ー…あぁ、本当に…そろそろ……



瞼がゆっくりと下がっていき、意識が薄れていく。

そのまま意識を手放そうとした。

その時。











「何しとるんや、お前等」












突然、声が聞こえた。


跡部を囲って暴力を与えていた者達は驚き振り向く。

跡部は閉じかけた目を再び開く。



視界に捕らえたのは、黒。

暗い、恐ろしい黒ではない。

どこか優しい、包み込まれるような…そんな安らぎの色。






舌打ちする音が上から聞こえた。

一斉に跡部から離れドアに向って掛けて行く。

徐々に遠くなっていく足音。

屋上に残ったのは跡部と…。

「大丈夫か?…うわ、結構やられてんなぁ」

「誰だよ…テメェ」

口の中が切れているため、喋ると鉄の味が広がった。

「あ、俺のこと知らへん?忍足や。この学校の保健室の先生なんやけど…」

そう、忍足と名乗った男はにっこり笑った。







そして次の瞬間。


「ぇ、…うわっ!?;」


突然の浮遊感。

気がつけば跡部は忍足に抱き上げられていた。

「テメェ!!何してんだよ…ッ、降ろせ!!」

暴れようにも体が痛み、口だけで反抗する。

「あかん。こんな怪我しとってからに…ちゃんと手当てせな」

「だからって何でテメェに…ッ」

「あぁ、お姫様抱っこ?」

「言うなっ!!」

サラリと言われた言葉に跡部は顔を赤く染める。

「あははっ、意外に純情なんやなぁv」

「ふざけんなっ!!」

「あ、暴れたら下着丸見えやで?」

「な…っ!!」

確かに…。

人より短くしている跡部のスカートは屋上の強い風に煽られて忍足の手が押さえていなければ今にも捲れそうで…。

「今ちょうど授業中やし…ここの階段からなら教室の前通らんでも保健室までいけるから恥ずかしくないで」

「そう言う問題じゃねぇよ!!」

「ほな、しっかり掴まっとり〜」

「人の話を聞きやがれっ!!」

そういうと忍足は跡部の声を無視し、さっさと階段を降りて行く。

ここまで来て暴れれば階段から落とされかねない。

たった今まで暴行を加えられていた体で階段から落とされれば一溜りもないだろう。

さすがに跡部もそれだけは避けたかった。

だから、ここは大人しく身を任せるしかなかったのだ。












そう、決して心を許したわけではない。



絶対に…






そんなことは、ない。













〜続〜




--------------------------------------------------------------------
*あとがき*

ようやく忍足登場。
忍跡らしくなってきたのだろうか…。
この話、オチも考えずに書いてるんで…この後どうしたらいいのか;(知るか)
にしても…跡部がなんだか可哀想な子;(今更;)