仁王と跡部の攻受合戦 Part 1
立海と氷帝の休みが偶然にも重なった。
その日は祝日。
ハッピーマンデー。
しかもその前の日も日曜でお休み。
そんなわけで仁王は跡部のお屋敷に泊まりに行く事になった。
「おっかしーのぉ……確かこの辺りなんじゃよね、跡部の家は」
小さな紙に書かれた地図。
その地図通りならば既に跡部邸についている筈。
それなのに仁王の視界にはそれらしきものは入ってこない。
先程から見えるのは塀。
そればっかり。
「…跡部に迎えに来て貰うべきじゃったかのぉ」
今更言ってももう遅い。
仁王と跡部が付き合い始めてもうすぐ3ヵ月。
キスは告白と同時に済ませてしまった。
神奈川と東京。
地図で見れば近いのだが実際、お互い部活もあるし何かと忙しい。
しかも跡部は1年生の癖にレギュラーというのだから尚更会いにくい。
だから、この偶然重なった2連休は彼等が付き合ってから初めてのゆっくりと過ごせる休みなのだ。
「あーもう!さっきから同じ塀と道ばっかりじゃ!!」
仁王はとうとう疲れ果て、その場に立ち尽くす。
踊り狂いそうな心を静めて昨夜は10時に寝た。
普段は日付が変わってから寝る仁王にとっては有り得ないほどのよい子ぶり。
ゆっくり寝ておいて1週間で溜まった部活の疲れを取っておかないと、今夜仁王が思い描いている計画が台無しにな
ってしまうから。
それは…。
「今夜こそぜーったいに跡部とエッチするんじゃ!!」
仁王は握り拳を空へと向け他人が聞いたら吃驚するような台詞を大声で叫んだ。
何を隠そう…隠してないが、仁王はこのお泊まり会に跡部との初情事を賭けていた。
「普段でもあんなに可愛くて色っぽいんじゃもん!エッチの時はもっと凄いに決まっとるじゃろ!」
筋が通っているのか通っていないのか、わからない事を再び叫ぶ。
仁王少年、只今中学1年生。
今までの人生で一番張り切っていたり…。
と、突然背後からクラクションが鳴り響く。
驚いて後ろを振り返れば…。
「遅いじゃねぇか、仁王…」
黒くって見た事もない程に長い車に寄り掛かっている跡部の姿。
格好良いと言えば格好良い姿なのだが、仁王から見たら。
ー…うわーっ!!すっごくカワエエ!!この場で襲っちゃるぞ、コノヤロウ!!
初めてのお泊まり会で無駄にテンションの高い仁王。
頬を紅く染め脳内パラダイス。
そんな仁王に気付かないのか、気にしていないのか。
跡部は溜息を吐きながら手招きをする。
それのままに近寄る仁王に跡部は呆れたような表情で。
「約束した時間になっても来ないから心配してきて見れば…何ボケっとしてやがる」
「スマンのぉ…道に迷ったんじゃv」
仁王がテヘ、と可愛らしく小首を傾げてみる。
すると跡部がほんのり頬を桃色に染めた。
それを誤魔化すかのように跡部は車のドアを開いた。
「ほら、早く乗れよ」
「ありがとのぉーv」
運転手は二人が乗った事を確認するとゆっくりと車を発進させた。
「にしても…なんじゃこの住宅街。ずーっと同じ風景ばっかりなんじゃもん」
「同じ?」
「だって…ほら、ずっとこの同じ塀が続いとるじゃろ?全くもってわからん。跡部から貰った地図じゃともうついとる筈じ
ゃったんに…」
ブツブツと文句を言い始めた仁王に跡部は不思議そうに首を傾げた。
「俺の家、この塀の向こうだぜ?」
「……はぃ?」
「だから、この塀の向こうは俺の家だって…」
「…この塀、数百メートルは続いとるんじゃけど?この先もまだまだ同じ塀なんじゃけど?」
「全部俺の家の塀だな」
「……マジ?」
あまりのスケールの違いに呆然と仁王は跡部の顔を見つめた。
それでも跡部は何も気にしていないかのように笑っている。
ふと、窓の外に視線を向けた。
「あ、ほら…門に着いたぜ」
そう言われ仁王も跡部と同じ方向に視線を向けた。
そこにあったものは…。
黄金に輝く高さ数メートルはあろうかという大きな門。
紅薔薇の装飾が彼方此方になされている。
そして門の端には2・3人の門番らしき人影。
仁王はどこか、異世界に紛れ込んでしまったような、そんな気分になった。
黄金の大きな門が開く。
その隙間を長いリムジンが通る。
門の向こうは一面緑。
芝生が敷き詰められ、木々が生えている。
時々見える彫刻や噴水がその雰囲気をより一層際立たせていた。
仁王はその庭の美しさにボーッと見とれているだけであった。
が、しばらくして気がついた。
「……なぁ」
「ぁんだよ?」
「…さっき門潜ってから結構時間経ったと思うんじゃけど?」
「そうだな」
「……車、さっきから動きっぱなしじゃけど…家、何処じゃ?」
「焦るなよ。もう数分経てば着くだろ」
「そんなにっ!?」
「何言ってんだ、普通だろ」
何事もない様に進み続ける車と跡部の態度に仁王は今更ながら不安を抱き始めた。
「着いたぜ」
仁王がぐったりとしているうちに何時の間にか跡部の家の玄関についたらしい。
運転手がゆっくりとドアを開く。
地面に降り立った跡部に続き仁王も荷物を掴み、慌てて降りた。
そこには噂に名高い(?)アトベッキンガム宮殿が聳え立っていた。
噂で聞くのと実際に見るのは大きな違い。
百聞は一見にしかず。
凄いと聞いていた跡部邸はそれ以上に物凄かった。
あまりのことに仁王は口を開けたままアトベッキンガム宮殿を見つめた。
「おい、いつまで突っ立ってるんだよ」
痺れを切らした跡部が仁王の腕を引っ張る。
そのことでようやく仁王は意識を現実へと引き戻す。
ーそうじゃった!!こんなことで怯んどったら駄目じゃ!!
そう、何しろこの後仁王には「跡部とドキドキ初体験v」が待っているのだから。
想像した瞬間突然ニヤケ顔にかわる仁王。
「ボーッとしてるかと思ったら今度は何にやけてるんだよ」
気がつけば自分の目の前に跡部の不愉快そうな顔が迫っていた。
慌てて仁王は歪んだ表情を戻す。
「何でもなかっ!それより、早ぉ家ん中入ろ?」
今度は穏やかに微笑んでみせる。
必殺(?)仁王スマイル。
この笑顔で微笑みかければあの恐ろしい真田でさえも動きを止める。(恐ろしさのため)
跡部はといえば、仁王スマイルを直視し目許を紅に染めた。
やっぱり可愛い、なんて再び思うも今度はにやけずに済ませる。
そして、勇気を振り絞り、異世界の宮殿へと足を踏み入れた。
〜続〜
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●あとがき●
はい、予告(?)どおりに仁跡の受け攻めバトルです。
エロまでまだまだ程遠そうですが…最後までお付き合いいただければ嬉しいですv
…書ききれるかなぁ、自分;

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