出会い











自動扉が開くと恐ろしいほどの雑音。

人人人の群。

そこはまるで別世界のようだ。







様々な音が混ざり合い、不快な程に脳に響いてくる。

ある一角では女達が高い声を上げてプリクラに夢中。

またある一角では良い歳をしたサラリーマン風の男性がレーシングゲームに没頭しているし某ミュージックゲームに
は大学生達が群がっている。

そして自分の友人はUFOキャッチャーにまた100円を入れていた。

「岳人、まだ取れへんの?;」

「ん〜…もうちょっと!!」



そう言い続けてもうひぃふぅみぃ…5・6回目やろか…。



自分の記憶が正しければもう1500円近くつぎ込んでいるのではないだろうか?

ちなみに向日が狙っているのは何とも可愛らしいクマのぬいぐるみ。

こんなくだらないゲームにつぎ込むぐらいなら店で買った方が良いのではないか…?

「なぁ、そろそろ諦めたらどうや?」

「もうちょっと!ほら、これ取れそうだし!!」



これも一体何回目の台詞や…。



確かココに来たのは1時間も前…。

何故UFOキャッチャーこれほどまでに夢中になれるのかが全く理解できない。

自分もいい加減そろそろ飽きてきた。

「岳人もー帰ろ……」





「そんなんじゃいつまで経っても取れんよぉ?」





突如背後から聞こえてきた声に向日と忍足は振りかえる。

そこには彼方此方跳ねた銀色の髪を後ろで束ね薄紫の瞳を持つ恐らく自分達と同い年ぐらいの少年が立っていた。

笑みを浮かべた唇の右下に小さな黒子がある。

手はポケットに突っ込んだままで、ツカツカと歩み寄る。

「こういうのはなぁ、ちゃんとコツがあるんじゃよ」

岳人を押し退け、コイン投入口に100円を入れた。

「え、おい…!?」

「まぁ、ええから見ときんしゃい」

機械が動き始める。

慣れた手付きで操作をする。

アームが徐々に狙っていたぬいぐるみへと向う。

アームはぬいぐるみを上手く掴み、そのまま持ち上げて行く。


そして…。

「あ…入った!」

「ホンマや…」

あれだけ向日が頑張って取ろうとしていたモノをいとも簡単に、それも一回で捕ってしまった。

満足そうに取れたぬいぐるみを取り出す。

「ほら、これじゃろ?欲しかったんは」

ほら、と彼は向日に可愛いクマのぬいぐるみを渡す。

「良いのか!?」

「勿論じゃよv」

嬉しそうに飛び跳ねる向日の頭を撫でる。

もしかしたら、いつもこういう風に小さい子にぬいぐるみを取ってあげてるのではないかというくらいに小さい子(向日
に言ったら怒られるだろう)の扱いに慣れている…気がする。

そんな風に思いながら様子を見つめていた。

ふと、目が合う。

「んで、そっちのおにーさんは何取って欲しいんじゃ?」

「へ、お…俺!?;」

いきなり話をふられ思わず大きく声を上げる。

しかしその声も周りの騒音に掠め取られる。

「そーじゃよ。…あ、これ取りやすそうじゃしとってあげるなぁ」

彼はさっさと自分でターゲットを決めると再び100円を入れた。

そして先程と同じ、手際良く一回でぬいぐるみを穴に入れることに成功した。

今回捕れたのはキツネのぬいぐるみ。

「ほら、プレゼントじゃよ」

「え、ああ…おおきに」

とりあえず礼を言い、ぬいぐるみを受け取ろうと手を伸ばした。

しかしぬいぐるみは彼の手の中から動かない。









何を思ったか…。



彼はくす、と笑いその唇をキツネのぬいぐるみに触れさせる。

そしてそれを忍足の方に向け…


そのまま…。





ふにぃ。





唇に感じたふわふわの、ぬいぐるみの感触。

「ッ、な…なぁ!?///」






「…間接キッスvじゃよ」

なーんてのぉ。


くすくす笑って彼はぬいぐるみを無理矢理腕の中に押しつける。

「それ、大切にするんじゃよ?…じゃーなぁv」

手を振り、踵を返して歩を進める。

「ちょ、っ…一体何なんや!?」

振りかえり、彼の背中に向って叫ぶ。

その声に顔だけを向け、にっこり笑った。

「またすぐに会えるじゃろ」

じゃあな、と軽く手を振って彼は人に飲まれるように消えた。

「…侑士」

「……何や、岳人」

「顔、真っ赤だぜ」

「…うっさいわ」




残ったのはぬいぐるみと、唇に感じた感触。


そして、彼の顔が…脳裏に焼きつき離れなくなった。




これが、数日前の出来事。














あれから、何度か同じゲーセンに足を運んでみたが一向に彼は見つからなかった。

日が経つにつれ、消えるどころかますます色濃く残っていく彼の姿。

コートから少し離れた場所に座り、彼の事だけを考える。

「はぁ…」




「何ボケっとしてやがる!!」



その声に肩が跳ねる。

恐る恐る顔を上げるとそこには何時の間にか跡部が自分の目の前でその整った眉を吊り上げて立っていた。

後ろにはいつも通りの大きな後輩の姿。

「今日は練習試合があるって言っただろ!?そんな浮ついた状態でどうする!!」



ホンマにテニス大好きっ子やなー…。



俺様な態度は少々気に食わないが、跡部のこういった真っ直ぐなところは割と気に入っている。

確かに部活中でこれから練習試合があるというのにぼーっとしていた自分が悪い。

そう思ったから、ここは素直に謝る。

「すまんかったなぁ。…で、どことの練習試合なんや?」

「…昨日の話聞いてなかったな」

「…スンマセン;」

「チッ。…今日の対戦相手は立海だ」

「へぇ?わざわざ来てくれるんや」

「あぁ、絶対勝てよな」

そう言い残し、さっさと跡部は行ってしまう。

姿が見えなくなり、再び溜息をついた。

跡部には悪いが今はあの、ゲーセンで出会った彼以外の事は考えられなかった。









十数分後、立海のレギュラー達が到着したようだ。

部員達がざわざわと騒ぎ出す。

「正レギュラー、全員集合っ!!」

跡部の声が響く。

レギュラーは急いで跡部のもとに集まった。




「今日はわざわざありがとよ、真田」

「いや、こちらこそよろしく頼む」

軽く握手を交わす二人。

ジローは丸井とじゃれあってるし、切原と2年レギュラーはすでにもう互いに戦闘体制だ。




はぁ…かったるいなぁ




そんな様子を尻目にやはりやる気がなくぼーっとしている忍足。

視線を何気なく空に移そうとした時…。

目に映った…真田の後ろにあった、見覚えある影。





胸が、高鳴る。





「ッ!?お前は…」



「言うたじゃろ?すぐに会えるって…」






以前会ったときのように、口元に笑みを浮かべて。



「仁王雅治じゃよ…よろしくなぁ」

















きっと、これから…







何かが始まる。














そんな…予感が。











〜END〜





-----------------------------------------------------------------------
●あとがき●

初忍仁小説です!マイナーだろうが気にしません!!
仁王さんの口調がわかんないよー…。
「プリッ」とかどういうタイミングで使えって言うんだ;
とりあえず、誰か文才をください;;