あの日、あの時の願い
一番最初に彼を見たのはJr.選抜での合宿でだった。
当時は二人とも一年生。
にもかかわらず、この合宿に来ているということはそうとう凄腕なのだろうと期待していた。
今だ目にしていない彼を思えば、ドクドクと血がざわめいたのを覚えている。
そして、合宿で彼の姿を見たとき、さらに衝撃が走った。
どうみたって女の子にしか見えなかったから…。
けれどもその目はいかにも野生的だ。
ギラギラ輝き、自分と同じくこの合宿に集まった好敵手に胸をときめかせているようだった。
ただ、一つ。
府に落ちない点があった。
彼は、同い年である自分にはその目を向けてはくれなかった。
興味が無かったのだ。
彼は明らかに己より上の存在にしか見ていなかった。
いつでも、前だけ見ていた。
いつでも、高みだけを目指して。
「跡部…景吾、か」
彼の名を呟く。
その美しい姿も目に焼き付けよう。
そして次は…。
跡部の目に自分の姿を映し、焼き付けたい…そう思ったのだ。
そして、今…。
「真田?どうしたんだよ、ぼーっとして」
お前らしくもない、と浴衣を着て真田と共に布団の上にちょんと座っている跡部が言う。
今日は真田の誕生日だ。
真田としては誕生日と言うものをそれほど重視していなかった。
家でも「おめでとう」と言われる程度でプレゼントなんてものを貰いもせずただ、年をとっていくだけであった。
けれども今年は違った。
跡部がいる。
彼は今日という日に真田に温泉旅行をプレゼントした。
プレゼント、といってもこの旅館は跡部財閥の一部で経営している関連会社で、財閥の子息である跡部のオカゲで無
料でここに来ることが出来た。
「楽しくなかったか…?」
不安気に尋ねる跡部の髪…先程一緒に温泉に入ったため、少々湿っぽいそれをやんわりと撫でた。
「いや、そんなことはない。むしろ跡部には感謝している」
こんな高級旅館なんて跡部に知り合わなければ来ることもなかっただろう。
温泉が好きな真田にとって、とても嬉しいプレゼントだった。
そして何よりも…。
「この日を跡部と共に過ごせて嬉しい」
そう、プレゼントはその次。
真田にとって、跡部と誕生日を過ごせる事が一番だった。
「バーカ、いきなり恥ずかしいこと言うんじゃねぇよ」
そんな事を言う割には跡部は真田に擦り寄って来る。
互いの体温が伝わって。
「今までの中で一番の誕生日だ」
「俺様のおかげだな」
くすくすと笑い、甘えるように頬を擦る。
それに答え、キスを一つ、二つ…。
「明日はこの辺りを観光しねぇか?」
「そうだな」
お前の腰が砕けてさえなければな…。
低い声でそう、耳元で囁く。
途端、意味を理解した跡部の頬が真っ赤に染まる。
「っ、馬鹿だろ」
「何とでも言え。そんな格好で俺を誘うお前が悪い」
「誘ってなんか…」
「だからお前はタチが悪いんだ」
恋人同士で、温泉旅行。
一緒に温泉に入って隣り合わせの布団。
触れ合う体から良い香りがする…。
真田とて老けてはいるが健全な男子中学生だ。
この状態で理性を繋いでいことは難しい。
「今晩はお前のその目に俺をしっかり焼き付けて貰おう」
「ばぁか。お前に告白されたその時から…もう既にお前が焼き付けて離れねぇんだよ」
そして、布団に倒れこんだ。
あの日、あの時から。
俺はコウナルコトを……。
ずっと望んでいた。
もう、その瞳からは・・・
消えさせない。
END
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●あとがき●
記念すべき(?)真跡二作目です★
誕生日プレゼントが温泉旅行ってどうなんだ?
私は嬉しいけどなー?
真田が温泉好きなのかも知らないな。
リョーマだったら好きそうだけど。(笑)
あ、ちなみに真跡は「さなあと」と打つと変換が大変ですが「しんせき」って打つと結構簡単に出てきますよ。(どうでもいい)
とりあえず真田っち、誕生日おめでとうv
こんなんだけどお祝いです☆

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