君といるトキ





















「なぁ、近くに出来たショッピングセンター一緒に行かへん?」


その忍足の一言で次の休日のデートの行き先が決定した。









先々週出来たばかりのそのショッピングセンターはそれはもう恐ろしい人混みであった。

もともと買い物なんて店(店員と品物)の方から自宅にやってきて、テニス用のシューズやラケットやグリップテープぐ
らいしか自分で買いに行かない跡部がこんな人混みになれてるわけがなかった。

すぐに人に酔い、近くのベンチに座り込んでしまった。

「ごめんなぁ、景ちゃん。まさかここまで駄目やと思ぉとらんだんや」

「いや…気にするな」

顔色の悪い跡部を見て申し訳なさそうにする忍足。



ー…そんな顔、させたいわけじゃなかったのに



もっと二人で楽しく見まわりたかったのに。

そう、自分の弱さが嫌になる。

何度か息をついて立ち上がる。

「…もう平気だから行くぞ」

忍足の腕を引いて歩き始める。

「え、景ちゃん…もうちょっと休んだ方が…」

「大丈夫っ!ほら、行くぞ!」

休めという忍足の声を無視して歩く。

仕方ないと忍足も跡部を休ませる事を諦め跡部の隣に並んで手を握る。

「じゃあ服でも見に行こか?」

にこ、と笑った忍足の手を跡部はぎゅっと握り返し、答えた。















2階の1番奥にある服屋に着く頃には跡部は人ごみにある程度馴れてきた。

色々と見まわる余裕も出てきたらしい。

忍足は笑顔で服を物色している。

「あ…なぁ景ちゃん!これ、試着してみぃひん?v」

「断わる」

「えーなんでぇ?」

確かに忍足の持っている服は黒を基調にしたもので…跡部の好みに合ってはいるが。

「なんでこんなところで着替えるんだよ」

ギャーギャーと言い争いをしているところで店員が話に入ってきた。

「試着ならあちらの更衣室でどうぞ」

にっこりと微笑まれながらそう言われる。

こういう場所での買い物は全く馴れていない為、跡部はそれの受け流し方も知らず。





「お客様、とてもお似合いですよ」

店員の口車に乗せられ試着するハメになってしまった。

「景ちゃんすごい似合うなぁvスタイルもえぇし…」

「俺は何着ても似合うんだよ」

ふふんと満更でも無さそうな跡部。

結局それを合わせて数着忍足が跡部に買ってあげた。

「良いのか?俺もちゃんとお金持って来てるし」

「えぇんや。俺が買ってあげたいって思ぉたんやし」

「…サンキュ//」

お礼を言うと忍足は嬉しそうに笑って跡部の柔らかな髪を撫でる。

「次何か見たいもんあるか?」

「本屋でちょっと探したいもんがあるんだけど」

「よっしゃ。じゃあそこやね」

そして再び手を繋いで人混みの中を進んで行った。






















12時が近づくとだんだんとお腹も減ってきた。

二人はたくさん並ぶ飲食店の一つに入ると奥の方へと案内された。

ウエイターはテキパキと慣れた動作で水、タオル、メニュー表を置くと一礼して下がっていった。

「欲しいもんも買えたし…楽しかったなぁ」

「あぁ、たまには良いかもな」

また来るか?

と跡部が尋ねれば忍足は少し顔を曇らせた。

「…それはあかん」

「何でだよ。さっき楽しかったって言ったクセに」

「だって…景ちゃんが可愛過ぎるんやもん。景ちゃんが悪い」

「…?」

意味がわからず首を傾げる。

忍足は不機嫌そうに辺りを見渡す。

「あそこの席の男も…あっちの席の二人組みも、あとはそこの女子大生、さっきのウエイター…他色々。みんな、景ち
ゃんのこと見とるんやで?」

言われてみれば、確かに彼方此方から視線を感じる。

今まで全く跡部は気にしてなかったがどうやら忍足は違うらしく…。

「景吾は…俺のもんなんにあないにジロジロ見て…」


「ばぁか」


立ち上がってテーブルを挟んで向こう側に座っている忍足の胸倉を掴む。

そして、ぐっと引き寄せた。

突然のことに驚いて、目を見開いている忍足。







その、薄い唇に…


…そっと、キスを落とす。



軽く、ふわっ…と。








一瞬感じた感触に忍足は口をパクパクさせている。


頬は心なしか赤くなって…。


「アイツ等は俺のことを遠目から見ているだけだ。でも、お前は違うだろ?」







触れ合える。


肌の温度を感じ、抱き合って。




他とは違う、特別。











「…せやね。俺はアイツ等は知らん景吾を知っとる」

あーんな姿やこーんな姿の景ちゃんとか、なぁv

軽口と叩く忍足をテーブルの下から蹴る。




「バーカ!…お前しか見てねぇんだよ、俺は//」

「ん、ありがとなぁ」


どちらからと言わず、唇が重なり合う。

















どこだって、君と一緒。





それならばきっと…、

とても楽しい、ひととき。











〜END〜



------------------------------------------------------------------------

04AT55様へ。2000hitお礼ですv
「ショッピングデート」な忍跡だったんですけど…出来てます?;
こんな変な文章になってしまってごめんなさい;(土下座)
こんなので良ければ貰ってやってください!